日本は古代より「八百万の神」として動物も神様として祀る、神の使者として丁重に扱う文化があります。しかし、この文化より一層動物たちを大切にしていた文化があります。
それが今回取り上げる、アイヌ文化におけるカムイたちです。
アッコロカムイ
アッコロとは「紐をもつ」という意味があり「紐をもつ神」として、
タコ(蛸)のカムイです。
漢字が当てられており「大章魚」とも書くそうです。
特徴
このカムイの特徴はなんといっても、大きさにあります。
その大きさは、足を広げるとクジラや船は一呑みできる程だとか。
さらに巨体故にアッコロカムイが居ると、光が体に当たり反射した色で海が赤く見えたそうです。
まるでクラーケンを彷彿とさせる伝承がある一方で、他にも
「アッコロカムイは人を好きになると岩に引き込んでしまう」という話があるそうです。
これは教訓を物語にしたもので、
「海で仕事をするときは深いところに行ってはいけない」という教えが込められているようです。
このカムイは本当に邪神であるのか、さらに調べていくと他の伝承に
ある青年が悪神に追われており、その中でアッコロカムイに助けを求めて祈ったところ、
その悪神に青い稲妻を浴びせた、とあり人助けもしています。
人には友好的ではあるけれど、その手段が人間よりではなく悪影響も出てしまっている
といった関係性のようです。
参照
アッコロカムイ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%82%A4
アイヌと自然デジタル図鑑
https://ainugo.nam.go.jp/siror/book/detail.php?page=book&book_id=A0258
イモシュカムイ
「イモシュ」とは「目覚めた」という意味がある、
オオヨモギ/エゾヨモギのカムイです。
特徴
このカムイの特徴は、植物がカムイとして敬われていることです。
オオヨモギには薬効があり、
貧血、咳、下痢、止血とほとんどの軽傷、軽症な場面に幅広く使えます。
そのためアイヌの生活では、食用にしたのはもちろん他にも
熱の治療法やヘビ除けの呪術などにも使用されていたそうです。
またオオヨモギは、
「この世で一番先に生えた植物」と考えられている地方もあることから、
お清めのための呪具としても使用されたとか。
用途が多彩である様子から、アイヌ民族の生活には必需品であり
カムイとして祀っていることから、イモシュカムイに助けられた方が多いのかもしれませんね。
参照
オオヨモギ – 薬草データベース
https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/004558.php
アイヌと自然デジタル図鑑
https://ainugo.nam.go.jp/siror/book/detail.php?book_id=P0001
ウパシチロンヌプカムイ(オコジョ)
「ウパシ」には「雪」、「チロンヌプ」には「けもの/キツネ」という意味がある、
オコジョのカムイです。
オコジョなのに「キツネ」の意味があるのは、「チロンヌプ」が「キツネ」の意で使われることが多いためなんだそうです。
なので、ウパシチロンヌプカムイは「雪キツネの神」とも和訳できます。
特徴
このカムイは伝承や物語、歌が他のカムイと比べて数多くあります。
なぜか。それすなわちかわいいから。
実際に生活にはどう関わっていたかというと、ある話では
「オコジョから寄ってきてくれた時は、カムイからのお恵みとして
頭の骨を守り神などとして大切に保管する」
などをしていたとのこと。
これは側に寄ってきたものを捕まえに行くのではなく、
オコジョ側から寄ってきて且つ、なついたオコジョのことを指しています。
捕まえようとすれば当然オコジョは逃げますが、
それはオコジョ(ウパシチロンヌプカムイ)から嫌われたと考えられたそうです。
守り神になるとはいえオコジョが骨になってしまうのかと少々悲しい思いになりましたが、
当時のアイヌの方々もオコジョはかわいいと語っており、
かわいいからこそ無理矢理捕まえようとしなかったようです。
参照
国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ
・このサイトでは実際に伝承を受け継いだ方のお話を音声で聴くことが出来ます
アイヌと自然デジタル図鑑
https://ainugo.nam.go.jp/siror/book/detail.php?page=book&book_id=A0272
最後に
いかがでしたでしょうか?今回はカムイ3柱をご紹介しました。
どのカムイも成り立ちや伝承を知ると、当時のアイヌ民族の生活を見えてきて、
さらに興味が湧いてきますね。
この記事を通して、さらに詳細を知りたい方はぜひ参照に記載したサイトをご覧ください。
今回の動物にまつわる伝承からは、色々と創作のインスピレーションを得ることが出来そうです。
まだまだエピソード溢れたカムイがいらっしゃるので、今後またご紹介したいと思います。
その際にはぜひご覧ください。
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